調査結果

クライアントを目標達成に導くコーチの特長

クライアントの多くがコーチングに満足していながらも、目標達成をすることができていない。目標達成に導くコーチは、他のコーチよりも、目標に向けた対話をしている。

コーチングの成果をクライアントの満足度ではなく、ROIや目標達成度で測ろうとする試みが増えています。

コーチング研究所では、クライアントが満足するだけでなく、目標を達成することができるコーチングについて調査しました。

その結果、多くの場合、クライアントがコーチングに満足していながらも目標達成ができていないことが分かりました。そして、クライアントを目標達成に導くことができたコーチは、その他のコーチよりも目標に向けた対話を行っていることが分かりました。

図1、2はクライアントが感じたコーチングの「満足度」と「目標達成度」に関する結果です。

全体の54%がコーチングに非常に満足したにも関わらず、目標達成したのはわずか12%でした。

コーチングに満足したクライアントが全て目標達成したという訳ではないようです。

では、クライアントを目標達成に導くコーチの特長とはどのようなものなのでしょうか。

「[1]満足度・目標達成度ともに非常に高いグループ」と「[2]満足度のみ非常に高いグループ」に分けて、それぞれのコーチの関わりを分析しました。すると、統計的に意味のある差がみられたのは、図3の12項目でした。(※)

カテゴリAは[1]と[2]の間に特に大きな差分が見られた項目です。
カテゴリAには「明確なゴール設定」や「次までの行動を明確にする」など【目標に向けた対話】という共通点があります。

クライアントの目標を明確にし、各セッションで何を話し、次のセッションまでに何をすべきかを決定していくことは、クライアントが目標達成するための能力を備えるために特に重要なコーチの関わりだと考えられます。

次に、カテゴリBはカテゴリAほど大きな差は無いものの、「目標達成に影響する」項目です。
カテゴリBは「質問で気付きを与える」、「クライアント自身が意思決定できるようにする」、「気兼ねなく話せるようにする」など、コーチの経験や能力の高さが求められる【対話の技術】に関する項目です。

何回もコーチングセッションを重ねていると、クライアントは無意識のうちに目標と関係のないことを話してしまうことがあるかもしれません。そのような時、コーチは質問や提案をすることで、対話が目標に向かっていないことをクライアント自身に気付かせ、何に向けて対話すべきかをクライアント自身が意思決定できるようにする必要があります。

クライアントを目標達成に導くことができるコーチは、高い【対話の技術】を備えており、それを使って【目標に向けた対話】を行っていると考えらえます。

コーチング研究所が考えるコーチングの最大の目的は、クライアントの「目標達成」です。
コーチがクライアントを目標達成に導くためには、常に自分のコーチングが目標に向けた対話をしているかをモニタリングする必要があるといえます。

※ 統計的に意味のある差 = P <.05(有意差あり)かつ効果量 d >.2

調査概要

調査対象:
コーチングを受けた 22ヵ国1,805人のクライアント
調査期間:
2013年1月~2014年10月
調査方法:
コーチング終了後、ウェブアンケートへ回答
調査内容:
Coaching Skills Evaluation System
コーチの関わり12項目、コーチングの効果2項目
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