調査結果

役員のエンゲージメントを高める経営者のリーダーシップ

経営者が役員と対話しビジョンを示し続けることが、役員の会社に対するエンゲージメントを高める

経営者にとって、社員のエンゲージメント向上とその維持は最重要課題のひとつです。それが、会社の企業価値向上に必要不可欠であるという強い確信があるからではないでしょうか。実際にこのテーマは、エグゼクティブ・コーチングでも多く扱われます。

では、役員の「会社に対するエンゲージメント」はどうでしょうか?役員であれば会社側の人間、当然高いものと考えるのが一般的かもしれません。

図1は、コーチング研究所が、会社の状態や経営者のリーダーシップについて、108社の役員陣(以下、役員チーム)に実施したアンケート結果です。「会社へのエンゲージメント」に関する項目のスコア分布を見ると、高いチームから低いチームまで、広くスコアが分布していることがわかります。

「会社へのエンゲージメント」は以下項目です。
・私はこの会社を成長させたい
・私はこの会社のビジョンに共感している

図1 役員チーム別にみた「会社へのエンゲージメント」のスコア分布
エンゲージメントスコアのヒストグラム

n=108社の役員チーム
7段階評価 (1.全くあてはまらないー7.とてもよくあてはまる)
コーチング研究所調査 2016年

今回は、108社の中で役員チームの「会社へのエンゲージメント」のスコアが高い上位10%(11社)に着目し、その会社の経営者と、それ以外の会社の経営者を比較して、発揮しているリーダーシップにどのような特徴があるのかを探りました。

「会社へのエンゲージメント」に関する項目のスコアが高い"上位"と"非上位(それ以外)"の会社における、役員チームによる『経営者のリーダーシップ評価の差』を要素別に算出したグラフが図2です。グラフは上位-非上位のスコア差を示しており、スコア差が大きい順に表示しています。

図2 役員チームが評価する「経営者のリーダーシップ要素」のスコア差
役員チームが評価する「経営者のリーダーシップ要素」のスコア差

n=108社の役員チーム(上位:11社,非上位:97社)
7段階評価 (1.全くあてはまらないー7.とてもよくあてはまる)
コーチング研究所調査 2016年

"上位"と"非上位"でスコア差の大きかった、リーダーシップ要素の具体的な項目は以下です。

<成長促進>
・役員と週に10分以上まとまって話す時間を設けている(スコア差1.1)
・役員をやる気にさせる提案や要望をしている(スコア差0.9)
・役員の成功や成長を支援している(スコア差0.9)

<方向性の提示>
・会社のビジョンを周囲に魅力的に語っている(スコア差1.0)
・節目だけでなく日常でもビジョンの話を持ち出している(スコア差0.9)

この結果より、経営者のリーダーシップ要素としては、「成長促進」、「方向性の提示」が他の要素と比較して差が大きいことがわかります。経営者が役員の成長促進に向けて関わること、方向性を十分に提示することが、役員の会社へのエンゲージメントを高めるために有効であることが推察できます。

経営者であっても、現場のリーダーと同様に、部下と対話し成長に向けて関わること、ビジョンを発信し続けることは重要であるといえます。あなたの会社には、対話とビジョン発信の連鎖はありますか?

調査概要

調査対象:108社
調査期間:2012年11月~2015年3月
調査方法:ウェブアンケートへの回答
調査内容:Leadership Assessment

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